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【祝 北陸新幹線敦賀延伸開業】だけど新大阪まで延伸しないかも!?

このページのまとめ

・北陸新幹線が新大阪まで延伸しない理由

その1 滋賀が嫌がっているから

その2 京都が嫌がっているから

なら米原ルートは?→JR東海、西日本ともに嫌がっている

本日2024年3月16日、北陸新幹線が敦賀まで延伸開業しました。

2015年3月14日に北陸新幹線は金沢まで延伸開業していましたから、実に9年ぶりに路線が延伸されたということになります。

今までは東京駅の電光掲示板で”金沢”の文字を示していた新幹線の行き先も”敦賀”に変わるわけです。

つまり、これによって東京から敦賀まで列車で1本で行けるようになりました。

 

しかし、正直なところ金沢に比べると敦賀の知名度、求心力はだいぶ落ちますよね…

 

敦賀があってどんなところやねん!ていう人も多いと思いますが、えっと。。。福井県の南に位置する市で福井市に行くには長い北陸トンネルをくぐる必要があります。

そして関西のアーバンネットワークを走る新快速が敦賀まで一本で行くことから、鉄オタからは「滋賀県敦賀市」だと認識されています。知らんけど。(実際は福井県敦賀市)

敦賀駅からは以前、「敦賀港線」という路線が伸びており、そこからベルリンに向かう船が出ていました。

東京からベルリン行きの切符を駅で買うことができた時代もあったのです。

レイルラボ(RailLab)

2024年春に北陸新幹線が延伸・開業する福井県敦賀市。現在は北陸本線の敦賀駅を中心に日本海へ向かって街が広がっ...…

敦賀といえば気比神宮という官幣大社もあり、あとヨーロッパ軒のソースカツ丼が美味しいです。正直それくらいのイメージしかありません。

気比神宮
気比神宮
ヨーロッパ軒のソースカツ丼
ヨーロッパ軒のソースカツ丼

 

ところでこの北陸新幹線ですが、敦賀延伸開業のあと最終的には新大阪まで延伸する計画になっています。

しかしなぜ今回敦賀で延伸が止まってしまったのでしょうか?

さらには新大阪まで延伸することは未来永劫ないんじゃないかとすら囁かれています。

それは一体なぜでしょうか?

解説してみます。

北陸新幹線が新大阪延伸できない理由

その1 滋賀県が激おこだから(並行在来線問題)

敦賀から新大阪まで路線を延伸する際のルートは小浜・京都ルートで決定しています。

これは敦賀から日本海沿いの町福井県小浜市に線路を伸ばし、そこから京都に向かうというルートです。

京都・小浜ルート
小浜・京都ルート。現在は小浜線という路線が走っており、これに並行する形で新幹線が建設されると思われる。青丸が小浜駅。

ところでこのような新幹線(整備新幹線)を延伸させた場合、JRは並行する在来線を運営から切り離すことができるというルールになっています。

理由は単純で在来線と新幹線両方ある場合は新幹線に乗ってもらった方がJRは儲かる。

そしてJRは民間会社が運営する営利企業なので儲からなくなった路線を維持し続ける理由はないからです。

そのため整備新幹線と呼ばれる新幹線では平行する在来線はJRは切り離しても良いというルールになっています。

整備新幹線とは
整備新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、 整備計画が定められている以下の5新幹線をいう。
・北海道新幹線(青森‐札幌)
・東北新幹線(盛岡‐青森)
・北陸新幹線(東京‐大阪)
・九州新幹線(福岡‐鹿児島&福岡‐長崎)

 

今回の場合、JR西日本は滋賀県内の琵琶湖西岸を通る湖西線が平行在来線に当たると主張しました。

そして仮に湖西線が平行在来線として経営分離された場合、路線を維持するか否かを地元自治体である滋賀県が決定する必要があります。

また路線を維持するとなった場合は滋賀県が第3セクターとして運営する必要が出てきます。

湖西線を並行在来線とした場合、特急列車(サンダーバード)は廃止されます。新幹線の方が早いので特急を残す理由がないからです。

となると利益率の良い特急列車を奪われた湖西線は赤字になる可能性が高いです。そしてその赤字を補填しろという風に滋賀県はJR西日本から言われているのです。

 

普通であれば新幹線のメリットを享受する代わりに在来線の赤字は補填しましょうというギブアンドテイクの取引で整備新幹線は着工されています。

しかし、(ここが最大の問題点なのですが)滋賀県の場合は新幹線が滋賀県内を通らないのです。

つまり北陸新幹線が新大阪まで延伸開業したところで滋賀県内には駅もできず通過すらしないのでメリットがありません。

なのに在来線を手放して赤字になるけどあとはよろしくと言われている状況です。これはあまりにも筋が通らない。なので滋賀県が激おこなのです。

北陸新幹線の延伸ルート、「小浜-京都ルートなら湖西線は並行在来線を検討」滋賀県知事(1/2ページ) - 産経ニュース
湖西線と北陸新幹線のルート。現在は大阪-金沢間を特急サンダーバードが湖西線経由で結んでいる(琵琶湖のほとりを走る青い線が湖西線)。しかし、新幹線が開業したら特急列車は新幹線に置き換わるため、特急サンダーバードは廃止となる。湖西線の収益はかなり悪くなるが、このお荷物路線を経営から分離して滋賀県に押し付けたい。というのがJR西日本のホンネ。しかし、滋賀県は新幹線が通らないため、そのお願いを受け入れる義理は一切ない。 画像は産経新聞より

同じような話が佐賀県にもあって。。。興味があったら読んでみてください。

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このページを読むとわかること ・並行在来線を巡って滋賀県と佐賀県がブチギレている ・並行在来線とは整備新幹線に並行する在来線のことで、新幹線開業後はJRが手放しても良いということになっている ・手放された在来線は廃[…]

佐賀県 滋賀県 新幹線 反対する理由 要らない理由

 

正直これは湖西線もJR西日本が赤字になってでも運営していくほかないと思いますが、未だに揉めているようです。

 

新大阪延伸が危うい一つ目の理由はこのような平行在来線の問題なのですが問題はこれだけにとどまりません。

だってこれはJR西日本が赤字になるけど仕方ないや、湖西線を維持しよう!と腹をくくれば済むだけの話なのですから。

京都がそもそもやる気なし(メリットのない京都府)

第二の問題点は京都府もやる気がないことです。

整備新幹線の場合、その都道府県内を通る建設費の3分の1は地元自治体が負担するというルールになっています。

今回の場合ですと、小浜から京都駅に乗り入れる際、当然京都府内を通りますから京都府が工事費用の3分の1を負担する必要が出てきます。

しかし、そもそも京都府に北陸新幹線のメリットはほとんどありません。

確かに北陸への速達ルートが確保されることにはなりますが、京都‐北陸の移動の需要はそこまで大きくないと思われます。

(実際に北陸新幹線の小浜・京都ルートの※B/C(補足)は1.1でギリギリ採算に乗っているといった状況)

これは大阪‐北陸にしてもそうです。

何を持って大きくないと言っているかですが、首都である東京と比較してです。

京都はすでに首都である東京都への速達手段「東海道新幹線」を持っています。

この大動脈である速達手段を持っているので北陸に対する速達手段は優先度が低くお金を出してまで欲しいと思えるようなものではありません。

確かに需要はあるけど「現行の通り敦賀までは特急サンダーバード、そこからは北陸新幹線の乗り換えでいいよね。だってお金出したくないからね」という結論になってしまいます。

大阪府民が金沢に行こうと思った場合、敦賀駅で乗り換えを強いられるのは非常に不便ですが、何のメリットもない京都府にお金を出させるのも酷でしょう。

(補足) B/Cとは
「ビーバイシー」と読む。
Benefit by Costのことで、開業後の効果を金額換算した「総便益」を、事業にかかる「総費用」で割って算出する。
数値が「1」を超えると事業効果があるとされる。

じゃあ米原ルートは?

となると米原ルートが再浮上します。

これは敦賀から現在の北陸本線(琵琶湖線)に相当するルートに新幹線を敷設し、米原にて東海道新幹線と合流させるというルートです。

琵琶湖の東岸を走って米原にて東海道新幹線と合流させるのが米原ルート。画像は画像は産経新聞より

米原ルートのB/Cは2.2(小浜京都ルートは1.1)ですので、収益性のことだけを考えると北陸新幹線は米原ルート一択です。

これは敦賀‐米原だけ線路を新たに敷設したら良いので、距離が短く建設費が安上がりだからです。

しかしこれにも問題が山積みです

問題1 JR東海が嫌がっている

普段何気なく新幹線に乗っている方はあまり意識していないでしょうが、今回の北陸新幹線と東海道新幹線は運営主体が異なります。

今回話をしている北陸新幹線(金沢から新大阪に伸びてくるルート)はJR西日本が運営主体となっています。

対して東海道新幹線(新大阪‐東京)はJR東海が運営しています。

つまり今回の北陸新幹線はJR西日本が運営主体であるにもかかわらず、米原ルートの場合は米原から新大阪までJR東海に協力してもらう必要が出てきます。

東海道新幹線は走らせれば走らせるだけお金が儲かるドル箱路線です。

JR東海の収益の9割を東海道新幹線が稼いでいると言われるほどです(ちなみにJR東海の純利益は2,200億円ほどです)。

そのため東海道新幹線の線路容量は限界に達しています。

これ以上列車を増発できないほど過密ダイヤで走らせているということです。

 

そんなところに「すみません、北陸新幹線開通させたいので線路貸してもらっていいですか?」なんてお願いができるわけがありません。

そんなことできる余裕があるなら東海道新幹線の本数を増やしたいはずです。だって、北陸より東京に人を運んだ方が儲かるのだから。

繰り返しますが、東海道新幹線は走れば走らせるだけ儲かるドル箱路線、しかも東海道新幹線であれば100%JR東海の運営ですから収益は独り占めできます。

JR西日本が運営する北陸新幹線に線路を分け与えるのは、せっかく一等地に店を構えたのに自社製品じゃないものを店頭に並べるみたいなものです。

問題2 JR西日本も嫌がっている

この米原ルートですが嫌がっているのはJR東海だけではありません。

なんと運営主体であるJR西日本も嫌がっているのです。

仮に北陸新幹線が米原ルートで開業したら新大阪‐敦賀の旅客誘導はそこそこ大きなものになるでしょう。

東海道新幹線と比べると微々たるものとはいえ一番の儲けどころになるのは間違いありません。

しかし新大阪‐米原‐敦賀の運営主体はJR東海になると思われますから、そこの一番の儲けどころをJR東海に持って行かれるのです。

これはJR西日本としても面白くありません。

そのためJR西日本も米原ルートを嫌がっているのです。

 

個人的には新幹線は国家プロジェクトなのだから、収益が云々みたいな大人の事情は置いておいて、お互い手を取り上手いこと進められんのかなー?と思うところではありますが…

そうなると、もう地域ごとのJRの区別は無くして国鉄に戻せって話になりますよね…なんだかなぁ…

米原ルートの落としどころは?

敦賀から先は小浜・京都ルートで決定していると書きましたが、こうなると個人的には米原ルートしかないと思っています。

滋賀県は米原ルート推しですし。

しかし、米原ルートにも問題があることを書きました。

落としどころとしては

  1. JR東海が折れて、新大阪‐米原間に北陸新幹線直通の列車を通させてもらう
  2. 新大阪‐米原間の直通列車は無し。米原までは東海道新幹線に乗って米原で乗り換える方式にする
  3. 新大阪‐米原間に北陸新幹線専用の新しい線路を建設する

だれもがハッピーなのは③でしょう。日本初の新幹線による複々線の完成です。

しかし、北陸新幹線は東海道新幹線ほど本数が多いとは思えませんから、新しい線路を建設したところでそれをどこまで使いこなせるかが微妙です。

B/Cも1を切るのではないでしょうか。(もう賢い人が試算しちゃってる?)

 

なら②でも問題ないと感じます。これなら現状のサンダーバード→新幹線の敦賀乗り換えはなくなって、新幹線どうしの米原乗り換えということになります。

乗り換える場所が敦賀が良くて、米原がダメな理由がないと思います。

しかし②案はJR西日本が収益性の観点から嫌がるのは先述した通り。

また、JR東海側としても輸送力ギリギリのところに北陸新幹線の客を乗せたくないかもしれません。(新大阪‐米原の短距離しか乗らない客を乗せるよりも、新大阪‐東京の客を乗せたほうが儲かるし、米原で降りられると名古屋くらいからしか次の客は乗ってこないと思われるので、米原‐名古屋の運賃注入を取りそびれる)

 

 

ちなみに仮に米原ルートが成立した場合も琵琶湖東岸を通る北陸本線(琵琶湖線)が並行在来線認定されると思われますから、滋賀県は建設費用の3分の1を負担しなければなりません。

米原は滋賀県に位置する駅で湖西線の場合とは異なりしっかり滋賀県内を通っているので、あそこまで筋が通らない話ではありませんが、やはりあまりメリットのない滋賀県が建設費用の負担を要求されることには変わりありません。米原ルートだったとしても滋賀県はあまり乗り気じゃないでしょうね。

(余談)サンダーバードでサスペンスの崖シーンが消滅?

余談ですが今回の北陸新幹線の敦賀延伸開業によって特急サンダーバードは敦賀止まりになりました。

サスペンスでおなじみだったサンダーバード殺人事件はサンダーバードの中で殺人事件が起こって、てんやわんやして最後は東尋坊(崖)で犯人が自供するみたいなオチだったと思います。

東尋坊の最寄り駅は芦原温泉。芦原温泉は敦賀より向こう側(金沢より)なので、サンダーバードはもう止まりません。

サスペンス劇場でおなじみだった崖の上でのくだりもできなくなってしまいました。

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