・特急くろしお号やはるか号が大阪駅から乗れない→乗れなかった理由は梅田貨物線を通るから
→乗れるようになりました(乗換所要時間:8分)
・近いうちに北梅田駅の開業によって大阪駅から関空・和歌山方面のアクセスが便利に!
・今後の十三駅には期待!
皆さんはこのように思ったことはないでしょうか。
なぜ和歌山方面に行く特急くろしお号や関西空港に行く特急はるか号は大阪駅から乗れないのか?
2023年3月25日追記
乗れるようになりました!詳細は後述します。
これは大阪駅を通過するという意味ではなく、そもそも大阪駅を避けるように走る線路が敷いてあるからです。
これを梅田貨物線と言います。
なぜ「くろしお」や「はるか」は梅田貨物線を通るのか
なぜ京都や新大阪方面から来たはるか号やくろしお号は大阪駅を避けて環状線に合流するのでしょうか?
それは物理的に環状線に合流できないからです。(線路が繋がっていない)
新大阪や京都発着するくろしお号やはるか号は新大阪駅を出発した後、環状線に入り天王寺、日根野などに停車して行くのですが大阪駅に停車してしまうと環状線には入れないようになっているのです。
これは京都や新大阪方面から来る東海道線の列車がそのまま環状線に直通できないのと同じです。
実際に京都発天王寺行きや高槻発天王寺駅といった列車は運行されていません。
そもそもなぜ梅田貨物線はあるのか
ではどうやってくろしお号やはるか号は環状線に合流するのかというと、先ほど書いたように梅田貨物線という元々は貨物列車のために整備された線路を通ります。
皆さんは大阪駅の後ろに広大な梅田貨物駅というものがあり、その横を縫うようにして線路が敷いてあるのを見たことはないでしょうか。
環状線や東海道線の線路は高架線になっているため道路の上に橋を架けて通過していくのですが、福島駅前のアパホテルの前などには線路があります。
これは主に貨物列車が通るために敷かれた線路なのですがここをくろしお号やはるか号が通過していきます。
梅田貨物線を通るくろしお号の車内から撮った映像
ではなぜそもそも梅田貨物線が整備されたのでしょう。
これは一言で言うと大阪駅の混雑緩和にあります。
東海道線は言わずと知れた東京と大阪を結ぶ大動脈で貨物列車も多数運行されています。
ところで大阪の貨物の拠点はユニバーサルスタジオジャパンなどがある安治川口の方面にあります。
東海道線から来た貨物列車はこの安治川口に荷物を届ける必要があるのですが、大阪駅を経由してしまうと人の乗り降りのない貨物列車が多数大阪駅を通過することになり、旅客列車の運行を妨げてしまいます。
そのため貨物列車が大阪駅を経由せずとも安治川口方面に抜けれるように。というわけで梅田貨物線が整備されたのです。
大ターミナルの駅を貨物列車が通過しないように。と言う狙いとしては名古屋の岡多線や瀬戸線に通じるものがあります。
まあ、その線路も今は貨物輸送の衰退に伴い用なしとなり、「城北線」とか言う変態鉄道が走っているのですが…
また昔は大阪駅の裏に梅田貨物駅といった広大な貨物の拠点もありました。ここは現在再開発が進んでおり数年後に北梅田駅という駅が新設される予定です。
現在は先ほど書いたように東海道線と環状線は物理的に直通不能になっていますが、それはあくまで結果であり貨物列車が大阪駅に入らずとも安治川口方面に抜けることができるようにという考えで整備されたのが梅田貨物線なのです。
梅田貨物線の今後
大阪駅の乗客が和歌山や関西空港方面に特急で行こうとするとわざわざ新大阪まで行くか、御堂筋線もしくは環状線で天王寺まで行って乗り換えなければなりません。
環状線で西九条と言う手もあります。
それがめんどくさいと言う人は少し時間はかかるけど快速列車で行ってしまいます。
JRは特急料金が徴収されますので、JR西日本からすると特急列車に乗ってもらった方が収益的にも良く、ここで快速列車に人が流れてしまうことは避けたいはずです。
また、ミナミ(天王寺、難波方面)まで行けば南海電車がありますから、快速列車どころではなく他社線に人が流れる懸念もあります。
そのようなJR西日本の悩ましい問題を解決するのがなにわ筋線構想です。
大阪近郊にお住まいのことならご存知のように現在梅田貨物駅(大阪駅の裏の巨大な空き地)の再整備が進められています。
(JRからしてもあんな好立地のところに貨物のヤードを置いても儲からないし、もっと有効な活用手段があるだろ。というところで駅整備を進めたかったようです)
そしてここに北梅田駅という駅が新設されるという計画になっています。
大阪駅からは微妙に離れているため大阪駅と北梅田駅の乗り換えはちょっと不便になりそうですが、そうなれば大阪駅から特急くろしお号やはるか号に乗車するといったことも将来的には可能になります。(→可能になりました)
しかし、大阪駅から阪急の梅田駅や御堂筋線の梅田駅に乗り換えるぐらいの面倒臭さは覚悟しておいた方が良いでしょう(徒歩8分とか言われています)。
さらにこの北梅田駅はなにわ筋線に参入することになっているそうです。なにわ筋線というのは南海、阪急、JRが乗り入れする2031年に建設予定の路線。
これによって阪急十三駅は南海を通じて高野山や和歌山方面に、JRを通して京都方面や新幹線への乗り換えもできるようになるためなにわ筋の開業で十三が化けるのではないかと期待されています。
この辺の説明はかなりややこしいのですが、こちらの動画にうまくまとまっています。
なにわ筋線は現在の御堂筋線のように梅田と天王寺、難波を一直線で結ぶだけではなく阪急が新幹線接続したり、難波でのJR線・南海線への乗り換えがスムーズになったりとかなり良い効果が期待されている路線です。開業を心待ちにしたいところです。
※以下、2023年2月4日追記
遂に北梅田駅が開業!はるかやくろしおに大阪駅から乗れるようになった!
2023年3月18日についに新しい大阪駅の地下ホームが開業します。
報道では「北梅田駅」とか「うめきた新駅」などと呼ばれていましたが、名称は「大阪駅」のままだそうです。
実際には徒歩8分で乗り変えられる駅なのに名前を別にしてしまうと案内で混乱してしまう可能性があるので、同じ名前でも良いと思います。
イメージとしては東京駅の京葉線ホームでしょうか。あれだけ離れているにもかかわらず我が物顔で「東京駅」を名乗っていますからね…
これに伴い東大阪線の始点は大阪駅となり、遂に駅ナンバリングF1が埋まることになります。
(今まで東大阪線の駅ナンバリングは新大阪駅が”F2”となっており不自然に”F1”が空いていましたが、これは新駅用に空けておいたものです)
なお当然この新駅は大阪駅と同一扱いの駅として取り扱われるようですから、運賃計算や経路は大阪駅と同じです。
少し離れた地下ホームだが、同一駅というのはまさに東京駅の京葉線ホームって感じです。
実際に京葉線の駅が東京駅とは別の駅として取り扱われることはなく、地上のホームも京葉線ホームも同じ”東京駅”として取り扱われていますよね。
一方で、大阪駅既存の高架プラットホームからは徒歩で8分ほどかかる見込みだそうで、乗り変えの際は注意が必要でしょう。
(とはいえ、東京駅の京葉線ホームほどではなさそうですね)
時短効果がハンパない!でも、高い…
はるかの場合
はるかは京都-関西空港を結ぶ特急列車です。
今までは大阪駅に停車しなかったため大阪駅周辺から乗る場合は、関空とは逆方向に一駅戻って新大阪から乗るか、環状線で移動して天王寺や西九条から乗るかしか選択肢がありませんでした。
こんな面倒な事をしてさらに特急料金も取られるくらいなら快速列車で行っちゃおうと考える人も多かったでしょう。
快速列車の紀州路快速であれば大阪-関空まで67分かかりますが、乗り換えなし、特急料金不要です。
しかし、今回の新駅開業ではるかに大阪駅から乗ることができるようになりました。
これによってはるかで大阪-関西空港が47分で結ばれるようになりました。
プレスリリースでは「大阪-関空が20分短縮!」と大々的に書いていますが、快速と特急の比較なのでここには最低でも自由席特急料金の差額990円が発生することをお忘れなく。
くろしおの場合
くろしおは京都・新大阪方面から和歌山・新宮方面にへの特急列車です。
これも大阪駅から乗れなかったため、紀州路快速で和歌山まで向かったとすると平均90分かかっていました。
しかし、今回大阪駅からくろしおに乗れるようになったことで、平均57分にまで短縮しています。
大阪-和歌山が60分を切るのは和歌山市民にとっては結構衝撃的ではないでしょうか。
しかし、これも快速列車と特急列車の比較なので差額が発生することを忘れてはいけません。
また、くろしおは全車指定席(自由席はなし)の特急なので最低でも1,720円の追加料金が必要です。
先述したように2031年には、なにわ筋の地下を経由してきた梅田駅とJR難波駅・南海新今宮駅との間を結ぶ計画路線であるなにわ筋線の開業が予定されており、ますます大阪周辺の開発が進みそうです。
いろいろありますが、とにかく大阪駅から「はるか」や「くろしお」に乗れるようになるのはかなり便利だと思います。
大阪駅から関空方面はそうでもないですが、関空から来た人が乗り換えなしで梅田にアクセスできるようになるのは結構大きいと思います。
今後も大阪周辺の土地開発事業に期待ですね。