・JRの安いきっぷの買い方を紹介
・できるだけ長く一筆書きになるように買うのが原則
・例外もあるのできっぷ分割プログラムを使おう
今回は切符の種類と、長距離旅行する際の安い切符の買い方についてご紹介します。
原則は「一筆書きで長い距離の気持ちを一度に買ったほうが安くなる」ということです。
このようなきっぷのルールを使って発見した切符がこちらになります。中部地方をほぼ一周するようなきっぷとなっています。
このきっぷのメリットを説明する前に乗車券と特急券、それに青春18きっぷについて解説しておく必要がありますので先にそちらをご紹介します。
乗車券と特急券
なじみのある方も多いでしょうがJRの切符には大きく乗車券と特急券というものの2種類があります。
乗車券はある目的地Aからある目的地Bまでを移動できるという権利を保証されただけの切符です(経路も指定されています)。
乗れる列車は普通列車と快速列車の自由席に限られます。多くの方が使っている通学定期や通勤定期は乗車券になります。特急列車や新幹線には乗れません。
在来線特急列車や新幹線に乗ろうとした際は、乗車券に加え在来線特急券で新幹線特急券が必要となります。つまり、きっぷが2枚必要になるということです。(指定席特急券を発行した場合は乗車券と指定席券が1枚にまとめられることが多いですが)
ちなみに、一般に「運賃」と言った場合は乗車券のみの金額を指します。特急券は含まれません。
青春18きっぷ
次は青春18きっぷについてご紹介しましょう。
青春18きっぷとは学生が休み期間に入る春・夏・冬に合わせて発行される切符で1日あたり2,410円でJR全線の普通列車・快速列車が乗り放題となるきっぷです。
青春18きっぷの範囲は乗車券のみです。すなわち、特急券は含まれていないので乗車することができません。
先ほど、「乗車券に特急券を追加することによって新幹線や在来線特急に乗車することが可能」と書きました。しかし、青春18きっぷではこのような利用方法は認められていないので、いくら在来線特急券や新幹線特急券を追加で購入したところで乗車することはできません。完全に青春18きっぷは無効となります。
これを勘違いして青春18きっぷで特急券を買い足し、特急や新幹線に乗る人が後を絶たないようでJRでは駅で盛んに呼びかけをしています。
1日あたり2,400円程度でどこまでも移動できるという夢のような気持ちですが、在来線特急や新幹線には乗車できないというデメリットに注意する必要があります。
長く乗れば乗るほど得をする
JRの切符にはもう一つ面白い側面があります。
走行距離が長くなれば長くなるほど1キロあたりに移動にかかる金額が安くなるということです。
例えば、大阪から東京までの乗車券は8,910円ですが、これを名古屋で区切った場合の運賃はこのようになります。
東京-名古屋:6,380円
名古屋ー大阪:3,410円 合計9.790円
つまり、同じ東京ー大阪間の移動でも、乗車券を名古屋で分割するだけで運賃が1,000円近く高くなってしまうのです。
もし、旅行や出張等で東京から名古屋、大阪と回るのが決定しているなら、乗車券は東京ー大阪で一括で買うべきです。大阪行きのきっぷは名古屋に着いてから…などと考えてはいけません。
ちなみに、有効期間ですが、東京ー大阪間は556㎞なので4日となります。つまり、名古屋で途中下車しつつも大阪に4日以内で行くことが確定ならば東京ー大阪を一括で買う方がお得と言うわけです。
なお、途中下車ができるのは乗車券のみで、特急券は途中下車できないので、新幹線に乗る際は新幹線特急券は東京ー名古屋と名古屋ー大阪で別々に買う必要があります。
〇の字乗車がお得!
このような切符の特徴を生かして旅行する際は単純にA地点とB地点を往復するのではなく、丸の字を描いて帰ってくるのがおすすめです。そうすることによって乗車距離が長くなり運賃が安くなるからです。
先ほどのきっぷは■■駅から大阪駅までのきっぷとなっていますから、実際には丸文字ではなく数字の6の字のような乗車経路になっています。
ルールは一筆書きであること。
片道乗車券の運賃が長くなればなるほど1キロあたりにかかる金額が安くなるというのがルールですから、同じ地点を二度通ってしまうと片道乗車券ではなくなりそこで切符は打ち切られてしまいます。
そのため私はこのような経路で旅行することにしました。
大阪駅を2度目に通った時点できっぷは終了です。
旅行の最終目的地は高山だったのですが、単純に■■ー高山間を往復した場合の運賃を比較してみましょう。
■■ー高山 片道6,380円 往復:12,760円
一方、赤い線の中部地方をぐるっと一周する乗車券の運賃は12,870円です。
これすごくないですか?
たった110円足すだけで、長野県の中山道の宿場町や北アルプスが美しい白馬、富山県を観光できると考えたら安いものでしょう。有効期限もかなり長く8日となります(連続乗車券込み)。
だから、旅行するなら往復乗車券よりも〇の字乗車できないか考えてみましょう。旅行がより一層面白くなるはずです!
〇の字乗車について補足(東京-名古屋の場合)
さて、〇の字乗車で皆さんがイメージしやすいのは東京ー名古屋間の移動ではないでしょうか。
例えば、東京駅から名古屋駅まで単純に往復するのではなく、東京駅から名古屋駅までは東海道本線で行き、帰りは中央本線経由で帰ってくる。という経路が考えられます。
実際は名古屋ー金山間、東京ー新宿間を2度通ることになってしまいますから、ここは新宿ー金山間の移動で考えましょう。金山駅とは名古屋駅の1つお隣の駅です。
新宿ー金山 364.7㎞×2=729.4 (片道)6,380円 (往復)12,760円 有効期間:6日
金山ー塩尻ー新宿 383.3㎞ (中央線経由)
合計748㎞ 10,670円 有効期間5日
なんと、中央線経由で帰ると距離が伸びるにも関わらず安くなるのです。
ちなみに、新宿発新宿行きの片道乗車券の値段はヤフー路線などで検索してもでてきません。これは距離で計算します。こちらのサイトをご覧ください。
JR西日本エリアのきっぷに関するルールのご案内です。…
〇の字乗車のメリット
有効期限が長い!
当然ながら片道乗車券は走行距離が長くなればなるほど有効期限も伸びていくわけですので、新宿から金山、金山から中央線経由で新宿まで戻ってきた場合の走行距離は748㎞で有効期限は5日になります。
つまり、5日間この切符で旅行できるということです。
途中下車ができる
これは意外と知られてないことですが、きっぷの走行距離が100キロ以上になると後戻りしない限り何度でも途中下車することができます。つまり、この場合、5日間の有効期限の中で何度でも途中下車してその土地を観光することができます。
ちなみに、大都市近郊区間内で完結するきっぷは100㎞以上でも途中下車ができませんので、ご注意ください。
大都市近郊区間は東京、大阪、福岡、新潟、仙台に設定があります。
特急や新幹線にも乗車可能!
ここが一番のメリットと思いますが、このきっぷなら特急券や新幹線特急券を買い足すことによって在来線特急や新幹線にも乗車可能です。
青春18きっぷでは一筆書きで縛りがないため自由に経路を決められたり、後戻りしたりも可能ですが、先述したように特急券を買い足したところで在来線特急や新幹線に乗車することができません。
私は今回の旅で特急南紀、特急しなの、特急あずさ、北陸新幹線、特急ひだと様々な列車に乗りました。
特に特急南紀は桑名ー名古屋間の短い移動でしたが、かなり助かりました。詳細は以下の記事からご覧ください。
(おまけ)往復乗車券とは何か?
少し往復乗車券についても紹介しておきましょう。
往復乗車券とは単純にA地点からB地点までの往復の乗車券のことです。
先ほどの例で言うと新宿ー名古屋、名古屋ー新宿を同じルートで二筆書きするような切符です。
往復乗車券の有効期間は片道乗車券の2倍、運賃も単純に片道乗車券の2倍となります。
つまり、片道乗車券を行きと帰りで1枚ずつ買った場合と何の変わりもありません。
しかし、往復乗車券がメリットを発揮するのは片道の距離が600キロを超える場合です。
この場合行きと帰りの運賃がそれぞれ1割引になります。1割引になるのは運賃部分のみで在来線特急券や新幹線特急券は1割引になりませんのでご注意ください。
しかし、この600キロというのは結構長く、東京-大阪間でさえ556キロであり600キロに達することはできません。
(おまけ)連続乗車券とは何か?
※以下、■■には自宅の最寄り駅が入ります。
先ほど示した■■から中部地方をぐるっと一周して大阪まで帰ってくるきっぷですが、■■まで帰るために連続乗車券にすることもできます。
実際に私は連続乗車券で発券しました。
連続乗車券というのは連続1、連続2という2つの経路が合体した切符で■■から大阪までぐるっと一周するのが連続1の部分、大阪から■■まで帰ってくるのが連続2にあたる部分です。
金額は1連続と連続2で2枚の金額になります。単純に連続1の運賃と連続2の運賃を足しただけです。
これに何のメリットがあるかというと、有効期間の適用日数が伸びるのです。
先ほどきっぷの有効期間は距離によって伸びていくと書きましたが、連続乗車券を使って発券した場合は連続1と連続2の乗車区間の距離の合計が切符の有効期間の算出に使われます。そのため運賃上のメリットを享受できなくても、有効期間が長く長くなるというメリットを受けることができるのです。
(2024/12/4追記) 連続乗車券 2026年3月に廃止される
連続乗車券が2026年3月に廃止されるというニュースが飛び込んできました。
JRは人件費削減のために窓口業務の廃止→ネット予約への移行をあからさまに促しており、窓口での発券が必要になる連続乗車券のようなめんどくさいきっぷの取り扱いは辞めたいのでしょう。
とはいえ、ネット予約すると指定席券に自由席の価格で乗れたり、ポイント制度(JR西ではWESTERポイント、JR東ではジェイアールEポイント)なども充実しているので、そっちに移行すればそこまで負担感はないのかなと思っています。
まとめ 長い距離買うほど安くなる!
JRのきっぷは1度に長い距離を一括で買えば安くなります。
つまり、先ほどの例であげたように東京-名古屋-大阪と回ることが決まっているのであれば、東京-名古屋、名古屋-大阪という2枚のきっぷにするのではなく、東京-大阪を一括で買ってしまった方が安いです。
しかし、例外もあります。特定の距離区間においてはコストパフォーマンスの高い運賃が設定されているからです。
上の表の「11~15キロ」と「26~30キロ」の運賃に注目してください。 「11~15キロ」の運賃は「240円」ですが、その倍の「26~30キロ」の運賃は「510円」です。 つまり、「11~15キロ」の区間の乗車券を2枚買えば「480円」で最大30キロ乗車することができる……というのが分割すると安くなる理由の1つです。 上記の区間に限らず、このようなケースは数多くあります。 もちろん、ちょうどよい距離間隔に駅がなければなりませんが、乗車券分割プログラムによって最適なポイントを見つけることができます。
このような場合はこちらの乗車券分割プログラムサイトが役に立ちます。
普通乗車券、回数券、定期券などの分割運賃を計算・検索する「乗車券分割プログラム」の概要・実行、操作方法とよくあるご質問、…
しかし、それでもメリット額は400円いったら良い方で、きっぷを何枚も発券する手間がかかります。
そこまで手間をかけるくらいなら「長い距離を1度に買う」ということだけ覚えて帰ってください。!
また、私鉄と競合する区間や大都市近郊区間(正確には電車特定区間)では特別に安い運賃が設定されている場合もあります。
ちなみに例外もある…
ここまで「きっぷは一度にまとめて長い距離買った方が安い」ということを書いてきたわけですが、例外もあるみたいです。
つまり、きっぷを分割した方が安いということ。
それはこのサイトで調べるとわかります。
乗車券分割プログラムを実行します。路線、発駅、着駅、券種、最大分割数、検索除外駅を指定して送信します。…
例えば、辰野-豊橋という飯田線乗り通しのきっぷだと12分割することで410円安くなるみたいです。
(12枚のきっぷを発券する方がめんどくさいかもしれませんが)
しかし、このサイトは経由地指定ができないみたいなので、このサイトで調べられないくらい複雑なきっぷ(今回紹介した〇の字や6の字乗車のようなもの)や調べても安くならなかった、という場合はルール通りの「一度に長い距離を買った方がお得」というルール通りに買うのが最安でしょう。