こんにちは、かもめ(@kamomeNo3885)です。
先日、知り合いに車を出してもらい三江線の廃線をめぐる旅をしてきました。
本日の移動経路はこんな感じ。
わたしは関西方面に住んでいるので広島まで新幹線で移動したのち、知り合いと合流。車で三江線に沿って進み、ホテルのある出雲市を目指します。
広島駅で集合し、そこから1時間半くらいかけて三江線の始発駅である三次駅に向かいます(三江線は広島県の三次駅と島根県の江津駅を結ぶ地方ローカル線です)。
広島駅から三次駅まで
広島駅から三次駅までは芸備線が伸びており、車も芸備線に沿って走ります。この芸備線はいまだに現役路線ですが、いつ廃止になってもおかしくないローカル線です。
三次駅に到着。
三江線が廃止になっても、芸備線が乗り入れるため三次駅自体は現役です。
しかし、かなり列車の本数が少なく、閑散としていました。ホームが3つほどありますが、どのホームにも列車は止まっていませんでした。
さて、ここで三次駅の時刻表を見てみましょう。この有様です。
ちなみに、三次駅では福山からの福塩線という路線も分岐しています。それでもこの有様です。
さて、三次駅から廃線となった三江線の方向に車を進める。そこには見たこともない田舎が広がっていた。
三次駅から三江線に沿って進む
基本的に田舎の路線は川沿いを走ります。それは山がちな区間ではトンネルを掘るよりも川沿いを走った方が上り下りが少なく、簡単に線路を通せるからです。
少しお金持ちな路線になると山があってもトンネルでぶち抜いていきます。新幹線が良い例です。
この三江線も例外なく江の川(ごうのがわ)という川沿いを走ります。
川の向こう岸に見えるのが三江線の廃線。
これを時速30㎞/hとかで走るんだから、やっぱり無駄なものを作っちゃったんだな。という感が否めない。#三江線 pic.twitter.com/w9PWjkvoOC— JR九州かもめ@近鉄修行中 (@kamomeNo3885) April 1, 2021
見えるでしょうか、川の向こう岸に線路があります。これが今はなき三江線です。
本来、三江線はJR西日本の持ち物であったため線路や駅にはJR西日本による立ち入り禁止の看板が立てられてあります。三江線の遺構を見ようと思っても立ち入れないのです。
日本一高い駅?「宇都井駅」
しかし、一部区間(宇都井駅ー口羽駅間)はNPO法人の「江の川鉄道」が管理しており、廃線を使ってトロッコ列車などの運行を進めているそうです。幸いこの日はトロッコ列車の運行日。
さらに、宇都井駅のホームにも立ち入ることができました。
宇都井駅とはもともと日本で一番高い駅と言われ、(標高ではなく、地上からの高さ)であり、地上からの高さは約20mです。
これまで地上からの高さが日本一高い駅は、JR三江線の宇津井駅とされていた。宇津井駅の地上高は20m。「天空の駅」の異名を持ち、エレベータがないために、ホームまで116段の階段をあがらないと列車に乗れなかったという。
だが、三江線は平成30年4月1日に廃線になり、宇津井駅もなくなった。
(しかし、後日訪れるが山陰本線の餘部駅はホームの地上からの高さが40mのところにあり、宇都井駅をしのぐ高さである。この日本一とはいったい?)
ちなみに、現在の最高地上高の駅は埼京線の北戸田駅だそうです。
さて、話を宇都井駅に戻しましょう。
宇都井駅は島根県と広島県の県境に位置する駅であるが、島根県の名物?「inakaイルミ」としても使われる駅です。
非常にイルミネーションがきれいな素晴らしい駅ですが、昼間に行くとこんな感じ。inakaというだけあって100点満点の田舎なのです。
そもそも三江線って何でできたの?
ここで地元の江の川鉄道の方から伺ったお話しを紹介しましょう。
三江線はもともと山陰と山陽を結ぶ「陰陽連絡路線」として作られた。とする記述が多いですが、もともとは江の川の水運を担う鉄道だったそうです(三江北線)。
三江線は歴史的に江津駅ー浜原駅間の三江北線と口羽駅-三次駅間の三江南線とに分かれます。浜原駅ー口羽駅間は何なのか?というと後年鉄道建設公団は建設した区間になります。そのためこの区間だけ最高速度が速いです(そいれでも85㎞/hであるが)。
三江北線とは山陰(島根県)側にあたる。そして歴史的にも三江北線から先に建設・開通したようです(この辺はwikipediaの三江線のページが詳しい)。
先述したように三江線は江の川に沿って走る路線。そのため水運を支えるために三江線が開通した。というのが江の川鉄道の方のお話でした。中国山地で取れた山の産物を江津方面(日本海側)に送り、日本海側からは海の産物を山に送っていたのでしょう。
そこで何を土地狂ったか、「これ南側も開通させたら陰陽連絡路線として使えるんじゃね?」と考えて南側(三江南線)も開通してしまったのだろうか?(三江南線も石炭の運搬に使用されていたらしい)
三江線が全通開業したのは1975年のことです。これで三江線を使って山陽側から山陰への移動が可能になったわけですが、そもそも路線図を見てわかるように江の川にそって「へ」の字のように折れ曲がった路線図をしているためかなり効率の悪い移動となります。
しかも、当時はすでに陰陽連絡路線として伯備線が開業していました。三江線が非電化路線(ディーゼルカーで移動)に対して、伯備線は電車で移動できる(現在も特急やくもやサンライズ出雲が走っている)路線。誰がどう考えても陰陽連絡路線としては伯備線の方が優れているのです。
三江線は三江北線。三江南線として部分開業していた時代から赤字であったし、全通させたところで赤字になるのは見え見えだったとそうです。
ではなぜ開業させたのか?日本国有鉄道だったからでしょう。それに鉄道建設公団のやり放題と言う側面もあります。
こんなお荷物路線を無理やり押し付けられたJR西日本にことを考えると胸が痛む。
現在の陰陽連絡路線について(余談)
さて、現在の陰陽連絡路線としては
- 伯備線(岡山と出雲市を結ぶ)
- 福塩線ー芸備線ー木次線の組み合わせ(福山ー備後落合ー宍道)
- 播但線(姫路ー和田山を経由し城崎温泉や鳥取方面に至る)
- 智頭急行線(JRではない第三セクターの鉄道。山陽本線上郡駅から鳥取に至る)
- 山口線(新山口~益田)
とざっと5種類あるりますが、特別な事情がない限り伯備線もしくは智頭急行線をおススメします。
伯備線の場合は岡山駅で特急やくもに、智頭急行線の場合は京都駅、新大阪駅、姫路駅のいずれかで特急スーパーはくとに乗り換えが可能ですが(新幹線連絡)、この際乗り継ぎ割引の適応も可能です。(乗り継ぎ割引を知らない方は調べてみてください)
三江線で一番栄えた駅「石見川本駅」を訪問
さて、三江線に話を戻しましょう。
その後は三江線内で最大の駅(と思われる)石見川本駅に向かいました。
(江の川鉄道の方に「三江線で最大の駅ってどこに当たるんですか?」と尋ねたところ「石見川本か因原か、はたまた口羽か?どこもどんぐりの背比べですね」と自虐ネタを言っていた)
途中、石見高原駅を通ったが、造成中でした。(造成:土地に対しその地盤面の形状を主に土を動かす事により何かしらの目的に利用すること)
石見高原駅の当時の駅舎が見たいと思ってgoogleで検索をかけたが出てこず。それくらいの田舎で利用者の少ない駅であったということでしょうか。
コインレストランかわもと
その後は少し車を走らせ、コインレストランかわもとへ。
三江線の沿線は本当にコンビニ一つない。
そのうえ、三江線は全線で100㎞以上あるそれなりの長大路線です。何も食料を買わずに廃線巡りに出かけるとかなり苦しい目を見ることになります。コインレストランかわもとは我々にカロリーを届けてくれる貴重な存在なのです。
ここから三江線は江津市に向かいますが、この日のホテルが出雲市だったため、石見銀山のお隣を通りつつショートカットして大田市へ。
広島駅を8時半くらいに出発してホテルに着いたのは18時前後。途中で降りて散策したり、昼寝したりしたのもありますが、かなりのロングドライブでした。