・大阪から新大阪まで大回り乗車してきた
・途中の関西本線はかつての大阪-名古屋間のメインルート
・距離にして323㎞、所要時間10時間、なのに運賃はたったの160円!
大回り乗車とは
この関西本線を乗るための大回り乗車ですが、なんと
大阪-新大阪までたった160円で323㎞にものぼる旅となりました!
大回り乗車についてはこちらのサイトに詳しいです。
簡単にいうと、一筆書きで帰ってくるなら限られた範囲内であればどこまで行っても一番安い運賃を適用するよ!ってことです。
山手線がわかりやすいでしょう。
例えば、この路線図で言うと、一番上、駒込から田畑に移動することを考えましょう。
通常なら1駅の移動距離で140円ですが、反時計まわりに新宿、品川、東京などを回って行っても同じ140円の運賃が適用されるのです。
この大回り乗車は正確には「大都市近郊区間内大回り乗車」と呼ばれ、その名の通り「大都市近郊区間内」にのみ設定されている制度です。
大都市の倍鉄道網が複雑になっており、同じA地点からB地点まで行くのでも複数通りの行き方が考えられます。また、時刻や列車の接続によっては走行距離は長いけれども早く着く。といったことも起こり得ます。
そのため、大都市近郊区間内ではA地点からB地点まで行った場合、その経路によらず最短経路で行った場合の運賃を徴収することになっているのです。それを逆手に取った旅行が大都市近郊区間内大回り乗車です。
2020年3月ダイヤ改正後のおすすめプランをご紹介します。二つ目はローカルな関西本線と琵琶湖をほぼ一周するコースです。 …
(補足)関西本線について
大回り乗車の前に関西本線について補足しておきましょう。
関西線とは面白い路線です。
今でこそ大阪ー名古屋の移動は東海道線(東海道新幹線)に打って変わられましたが、昔は関西線経由が最も主要な路線でした。
しかも、今現在においても関西線経由の大阪-名古屋間が最短距離での移動となるはずです。
青が東海道新幹線、緑が東海道本線(在来線)、赤が近鉄戦、黒が関西本線です。
実際に関西本線が最短ルートであることがわかります。にもかかわらず最も時間のかかる行き方になっています。
理由は
- JR西日本とJR東海の会社間をまたいだ路線であること。
- JR西日本が加茂駅で系統を分けたこと
- 鈴鹿峠を越えるのが大変なこと
などが上げられますが、この辺は西園寺チャンネルの動画を見ましょう。
で、関西本線に乗ってみたいので大回り乗車をしてみました。お金をかけずに関西本線に乗れるので最高の方法なのです。
今回実行した大回りの経路
私が今回たどった経路はこちら
居住地が兵庫なので、行き帰りの行程まで地図上では記載されていますが、そこは無視してください。
大回りの行程としては、
- 大阪ー和歌山(紀州路快速、環状線、阪和線)
- 和歌山ー奈良(和歌山線)
- 奈良ー木津(大和路線)
- 木津ー柘植(関西本線)
- 柘植ー草津(草津線)
- 草津ー新大阪(東海道線・京都線)
といった行程です。
実際に地図を見れば一筆書きで細長い円を描いて帰ってきているのがわかります。
草津から新大阪とは反対側に行って米原ー近江塩津-山科と経由することで琵琶湖一周もできますが(ここまでやっても160円)、今回の目的は関西本線に乗ることなのでそこまではしませんでした。
(阪和線と和歌山線に乗りたいってのもあります)
関西大回り乗車のモデルルートを紹介
大阪駅を10時出発した場合の乗り継ぎ時刻表を以下に示します。参考にしてみてください。(2022年1月22日現在の時刻表です)
このように最速で乗り継げは8.5時間くらいになりますが、私は後述するようにウォークマンを落としたり、途中で買い物したりしたので10時間くらいかかりました。
なお、大都市近郊区間大回り乗車というくらいなので、基本的には列車の本数が多い地域を走ります。列車を乗り過ごしたからといって焦る必要はありませんが、和歌山駅からの和歌山線と加茂駅からの関西本線は1時間に1本となる時間帯が多いので、ここを中心にスケジュールを立てると良いでしょう。
それ以外の区間は本数が比較的多いです。
発駅 | 時刻 | 着駅 | 時刻 | 路線 |
大阪 | 10:10 | 和歌山 | 11:39 | 環状線・阪和線(紀州路快速) |
和歌山 | 11:54 | 奈良 | 15:03 | 和歌山線 |
奈良 | 15:20 | 加茂 | 15:34 | 大和路線 |
加茂 | 15:41 | 柘植 | 16:36 | 関西本線 |
柘植 | 16:46 | 草津 | 17:33 | 草津線 |
草津 | 17:51 | 新大阪 | 18:37 | 京都線 |
第一走者 大阪発和歌山行き
さっそく大阪駅で160円のきっぷを買って環状線に乗車。これでまずは和歌山まで向かいます。
大回り乗車中は特急券さえ購入すれば特急に乗ることも可能です。
時間さえ合えば特急課金しようと思いましたが、特急に乗ったところでそこまで早くならないとのことだったので普通列車に揺られていきます。
列車は天王寺から環状線の遠心力によって和歌山方面に飛ばされていきます。この区間の高架線の車窓はかなり好きです。
列車は日根野駅で和歌山行きと関西空港行きに分割します。
私が乗っていた先頭車両は関西空港行きとのことだったので、一旦下車し、後ろの車両に向かいます。
この時に胸ポケットにウォークマンを入れていたのですが、走った弾みで線路に落としてしまいました!
駅員さんに相談し、拾ってもらいましたが、結局その車両には乗れませんでした…
ということで、一本後の車両に乗車。(駅員さんその節はありがとうございました)
と、こんな災難もあったけど、意外と幸運もあった。日根野駅でパンダくろしおを見たのです。
和歌山のアドベンチャーワールドとのタイアップでなされているラッピング車両。これに乗って和歌山まで急ぎたかったけど、なんにせよウォークマンはまだ線路の上である…
第2走者 和歌山発奈良行き
和歌山駅ではこれまで乗ってきた阪和線から和歌山線に乗り換えが必要ですが、なんと中間改札がありました!
しかも、きっぷを台においてインターホンで駅員を呼び出し、カメラで認識してもらうタイプのやつ。
こんな変人の遊びに付き合わせて申し訳ないが、仕方ない…
「大回りです」というと、あっさり通してくれました。
和歌山駅の改札内の売店で巻き寿司をゲット。大回りでは改札外には出れないので、改札内の売店は貴重です。
改札内のコンビニやお土産屋さん、食堂がある駅は貴重なので調べておきましょう。
有名どころだと、この和歌山駅以外にも尼崎駅、草津駅、加古川駅、京都駅、大阪駅、新大阪駅などがあります。
そして和歌山から奈良までが長い!
ロングシートでずっと寝ていたので記憶がない。途中、南海電車との乗り換え駅である橋本を経由します。また、近鉄との乗り換え駅である吉野口駅も経由します。
奈良からはお待ちかねの関西本線方面に列車は進みます。
第3走者 加茂行き
第3走者は奈良から加茂までの短い区間なので省略。
15分程度の乗車ですが、途中「平城山」と言う駅に停車します。
これは「ならやま」と読み、平城京と奈良の所以を考えると読めなくもないですが、難読駅名として知られています。
第4走者 加茂発亀山行き
関西本線は鉄道唱歌関西編でも歌われている主要路線。
だったが、今は面影もない…
と思いきや、有効長の長いホームや行き違い設備が残されており、かつての栄光を思わせます。
景色を遮るものがなく、見晴らしがよくなるのでディーゼルカーの方が好きです。
第5走者 柘植発草津行き
柘植駅からは草津線に乗り換えです。
柘植駅では伊賀忍者の里ということで忍者もいました。
ちなみに、柘植は松尾芭蕉の出身地です。
鉄道唱歌でも以下のように歌われています。
伊賀焼いずる佐那具(さなぐ)の地
芭蕉うまれし柘植(つげ)の駅
線路左にわかるれば
迷わぬ道は草津まで
柘植駅からは草津線に乗車。まさに「迷わぬ道は草津まで」ですね。
この路線、関西圏ではかなり揺れる路線として有名で、実際かなり揺れました。
草津線の113系ももう先は長くないでしょう。
第6走者 新快速で新大阪へ!
草津からは新快速であっという間に新大阪。
延べ8時間ほど。それでも160円。これが大回り乗車の醍醐味です。
PS 新大阪の改札内のそば屋さんが美味しかった
関西の大回り乗車は160円で最高18時間乗れるそうなので、猛者はやってみてください(これを鉄オタは監禁18時間と呼んでいます。だって、18時間改札外に出れないので)